相対論においては時空は時間も空間も平等にして扱っています。しかし、時間一定面で時空を分割していき、時間発展を追うこともできます。これは相対論を正準形式で記述しようと思うと必要となることです。このように、次元時空を次元時間一定面で分解することをアーノウィット-デザー-マイスナー*1(ADM)分解といいます。
時間一定面
時空の時間が一定である超曲面をとします。
を次元の部分多様体とみて、この上の計量を定めることができます。に座標を貼り、この座標での計量をとします。このは上に張り付けた座標での計量成分の空間成分とは一般には異なるのですが、今は時間一定面であり、とすると一致します。とすると、と書けます。
計量のADM分解
ベクトル場は超曲面に直交する成分と超曲面上の成分に分解することができますね。との点を結ぶ世界間隔(時間的または空間的)を考えてみます。の法線ベクトル場をとし、符号をとします。すると、世界間隔の上の端点から法線ベクトル場に平行にまで関数倍できます。その関数をラプス関数といいます。今度は、世界間隔を上に射影すると、その射影された成分はある上のベクトル場を用いて、と計量されます。このベクトル場をシフトベクトルといいます。そうすると、上の世界間隔としては次のように計量されます。
そうすると、計量は次のようになっていることがわかるかと思います。
逆行列は簡単に系計算できて、であって
となります。このように計量などを分解することをADM分解といいます。
*1:マイスナー効果で知られるマイスナーさんとは異なります。