2020年、あけましておめでとうございます。新年になったので、リーマン幾何であらわれる形作用素というものを解説したいと思います。
ガウスの公式
の多様体とユークリッド空間へのはめこみがあるとします。リーマン計量は、ユークリッド空間の標準内積をとして、各点で
のように誘導します。はのベクトル場全体で、はに沿うのベクトル場、はの標準の線形接続とし、によって、単位法ベクトル場として
とに直交する成分と接する成分に分解できます。が第2基本形式です。この式でを誘導しています。またこれをガウスの公式といいます。そして、実はこのようにして誘導したはさきほど誘導したリーマン計量に対するレビ-チビタ(リーマン)接続になっています*1。
ワインガルテンの公式
単位法ベクトル場は, を満たすので、あるが存在して、
となります。はにより定まるため、と書くことにすると、
となり、これをワインガルテンの公式といいます。ではなぜという記号を導入したかというと、を作用としてみると、写像が線形写像であることから合成写像が線形写像であることがわかり、写像が線形写像であることとからが線形写像としてみなせるからです。すなわちです。この混合2階テンソル場を形作用素といいます。単位法線ベクトル場の微分を考え、の中のという曲面の曲がり具合を表すものと捉えることができ、の中でのの「形をつくっている」ことから形作用素といいます。この形作用素の性質やこれを考えることで何が嬉しいのかということはまた次回の記事にしたいと思います。
*1:の性質などを用いることにより示すことができます。