ぶちゅり

日々学んだ物理学や数学、化学に関することをメモしていきます。間違ったことを言っているかもしれません。英語版は.jp→.com。記事はサイレントに更新・訂正することがよくあります。

【一般相対性理論】一般座標変換対称性に基づくゲージ論的重力場

この記事は参考文献[1]を大いに参考にしました。重力もゲージ論的に捉えることができて、ゲージ理論を拡張することで考えることができます。ゲージ変換として、一般座標変換で考えたものが重力のゲージ理論になります。(スピノル場はこの方法では扱えません。)

重力とGL(4)対称性

重力場を得るときに特に他と違って特別な点というのが、ゲージ変換が座標の変換によってもたらされることです。\Lambda\in GL(4,\mathbb R)として、

x^\mu\rightarrow x'^\mu(x)=\Lambda^\mu_\nu x^\nu
という座標変換によって、諸量が変分を受けます。電磁場の場合は場の位相変換、つまりe^{i\theta}不定性を利用したゲージ変換でしたが、重力場の場合は、どのような座標系をとっても、真な物理法則は変わらないという不定性を利用したゲージ変換ということになります。では、この一般座標変換でなにが変わるかというと、ゲージ場としてのベクトル場、ゲージ場の強さとしてのテンソル場、ヒッグス場としての複素スカラー場など、これらが各々の変換性に伴って変換するわけです。*1

電磁場との相互作用がある複素スカラー場を例に

具体例がよくわかってないのですが、電磁場との相互作用がある複素スカラー場とかを例にして良いのでしょうか()、複素スカラー場のラグランジアン密度は

\mathcal L(\Phi,D\phi,A,\partial A)=(D_\mu \Phi)^*D^\mu\Phi-m^2\Phi^*\Phi-\frac{1}{4}F_{\mu\nu}F^{\mu\nu}
としてKlein-Gordon方程式が得られます。作用は大域的な座標変換に対する対称性をもちます。

一般座標変換対称性

計算を簡単にするため、無限小変換で考えます。連続的な変換なのであとで積分すれば有限の場合を再現できるので、これでも本質が尽きます。

x^\mu\rightarrow x'^\mu(x)=x^\mu+\epsilon^\mu_\nu x^\nu
というように、16個の連続無限小パラメータ\epsilon^\mu_\nuをとります。すると、

\delta x^\mu=x'^\mu-x^\mu=\epsilon^\mu_\nu x^\nu

\delta g_{\mu\nu}=-\epsilon^\kappa_\mu g_{\mu\lambda}-\epsilon^\kappa_\nu g_{\lambda\nu}\\
\delta dx^\mu =\epsilon^\mu_\nu dx^\nu\\
\delta d^4x = \epsilon^\mu_\mu d^4x\\
\delta \partial_\mu =-\epsilon^\nu_\mu\partial_\nu

\delta \Phi=0

\delta (\partial_\mu\Phi)=(\delta\partial_\mu)\Phi\\
=-\epsilon^\nu_\mu\partial_\nu\Phi

\delta A_\mu=-\epsilon^\nu_\mu A_\nu

\delta (\partial_\mu A_\nu)=-\epsilon^\lambda_\mu \partial_\lambda A_\nu-\epsilon^\lambda_\nu \partial_\mu A_\lambda
です。

局所対称性の回復

ゲージ原理に従って、これを座標に依存した局所的なパラメータ\xiというものに置き換えます。
\epsilon^\mu_\nu\rightarrow \xi^\mu_\nu(x)
とします。ここで、ある関数\xi^\muが存在して、x'^\mu=x^\mu+\xi^\muとかけるとすると、

dx'^\mu=dx^\mu+\xi^\mu_\nu dx^\nu
なので、

\xi^\mu_\nu=\partial_\nu\xi^\mu
が成り立ちます。このような局所的なゲージ変換だと例えば、

\delta (\partial_\mu A_\nu)=-\xi^\lambda_\mu \partial_\lambda A_\nu-\xi^\lambda_\nu \partial_\mu A_\lambda-\partial_\mu\xi^\lambda_\nu A_\lambda\\
=-\partial_\mu \xi^\lambda \partial_\lambda A_\nu-\partial_\nu\xi^\lambda \partial_\mu A_\lambda-\partial_\nu \partial_\mu\xi^\lambda A_\lambda
となります。この第三項は大域的ゲージ変換の場合には出てきませんでした。この項を打ち消して対称性を回復させるように、ゲージ場\Gamma^\lambda_{\mu\nu}を導入するのがゲージ理論の一般的な処方になります。共変微分とゲージ場の変換則は次の形を要請します。

\nabla_\mu A_\nu:=\partial_\mu A_\nu +(\Gamma_\mu A)_\nu,\ (\Gamma_\mu A)_\nu:=\Gamma^\lambda_{\mu\nu} A_\lambda

\delta (\nabla_\mu A_\nu)=-\partial_\mu \xi^\lambda \nabla_\lambda A_\nu-\partial_\nu\xi^\lambda \nabla_\mu A_\lambda

\delta \Gamma^\lambda_{\mu\nu}=\Gamma^\kappa_{\mu\nu}\partial_\kappa\xi^\lambda-\Gamma^\lambda_{\kappa\nu}\partial_\mu\xi^\kappa-\Gamma^\lambda_{\mu\kappa}\partial_\nu\xi^\kappa-\partial_\nu\partial_\mu\xi^\lambda
となりますが(ここの計算は少し大変です)、このゲージ場を対称部分と反対称部分に分解、すなわち

\Gamma^\lambda_{\mu\nu}=\Gamma^\lambda_{(\mu\nu)}+\Gamma^\lambda_{[\mu\nu]}\\
\Gamma^\lambda_{(\mu\nu)}:=\frac12(\Gamma^\lambda_{\mu\nu}+\Gamma^\lambda_{\nu\mu})\\
\Gamma^\lambda_{[\mu\nu]}:=\frac12(\Gamma^\lambda_{\mu\nu}-\Gamma^\lambda_{\nu\mu})
としてみると、

\delta \Gamma^\lambda_{(\mu\nu)}=\Gamma^\kappa_{(\mu\nu)}\partial_\kappa\xi^\lambda-\Gamma^\lambda_{(\kappa\nu)}\partial_\mu\xi^\kappa-\Gamma^\lambda_{(\mu\kappa)}\partial_\nu\xi^\kappa-\partial_\nu\partial_\mu\xi^\lambda\\
\delta \Gamma^\lambda_{[\mu\nu]}=\Gamma^\kappa_{[\mu\nu]}\partial_\kappa\xi^\lambda-\Gamma^\lambda_{[\kappa\nu]}\partial_\mu\xi^\kappa-\Gamma^\lambda_{[\mu\kappa]}\partial_\nu\xi^\kappa
となり、打ち消したい項のためには反対称部分は働かないことがわかります。この役に立たない反対称部分は0として落としてしまいます。つまり、ゲージ場に対称性を要請しても理論として問題がないことがわかります。

\Gamma^\lambda_{\mu\nu}:=\Gamma^\lambda_{(\mu\nu)}
さて、大域的変換では、計量はg_{\mu\nu}={\rm const.}で、\partial_\lambda g_{\mu\nu}=0でした。局所的変換では、\partial_\mu\nabla_\muにおきかえ、g_{\mu\nu}({\rm const.})g_{\mu\nu}(x)に置き換えることが自然であるので、次の計量の保存を要請します。

\nabla_\lambda g_{\mu\nu}(x)=0
ところで、\nabla_\lambda g_{\mu\nu}は未定義でしたが、これは\nabla_\lambda g_{\mu\nu}が共変性を持つように定義します。*2

\nabla_\lambda g_{\mu\nu}\rightarrow\nabla'_\lambda g'_{\mu\nu}=\frac{\partial x^\tau}{\partial x'^\lambda}\frac{\partial x^\kappa}{\partial x'^\mu}\frac{\partial x^\eta}{\partial x'^\nu}\nabla_\lambda g_{\mu\nu}
g_{\mu\nu}の変換性

\delta g_{\mu\nu}=-\xi^\kappa_\mu g_{\mu\lambda}-\xi^\kappa_\nu g_{\lambda\nu}
から、

\nabla_\lambda g_{\mu\nu}:=\partial_\lambda g_{\mu\nu}-\Gamma^\kappa_{(\mu\lambda)}g_{\kappa\nu}-\Gamma^\kappa_{(\lambda\nu)}g_{\mu\kappa}
とすればよいことがわかります。さきほどの要請より、

\Gamma^\lambda_{\mu\nu}=\frac{1}{2}g^{\lambda\kappa}(\partial_\nu g_{\mu\kappa}+\partial_\mu g_{\kappa\nu}-\partial_\kappa g_{\mu\nu})
となることがわかります。これはまさに、(擬)Riemann幾何学のLevi-Civita接続です。ゲージ場の対称部分としてLevi-Civita接続係数が得られます。接続係数は一般座標変換に対して不定性があったので、ゲージ場としての性質が備わっているというのは確かにあっていますゲージ場の一般論から、ゲージ場の強さ*3は、

R^\lambda_{\kappa\mu\nu}=\partial_\mu \Gamma^\lambda_{\kappa\nu}-\partial_\nu \Gamma^\lambda_{\mu\kappa}+ \Gamma^\lambda_{\mu\eta} \Gamma^\eta_{\kappa\nu}- \Gamma^\mu_{\eta\nu} \Gamma^\eta_{\mu\kappa}
となります。これもまさに、(擬)Riemann幾何学のRiemann曲率テンソル成分になっています。このことから、ゲージ場の強さはしばしばゲージ場の曲率とも呼ばれます。重力場の方程式は、この微分幾何学的性質から、スカラー曲率Rを採用します。*4 これは不変なのでもっともらしく、まさにEinstein-Hillbert作用になります。

参考文献

[1]内山龍雄 著 (1987) 『一般ゲージ場論序説』 岩波書店.
[2]R. Utiyama : Prog. Theor. Phys. 72 (1984) 83.

*1:物質場としてのスピノル場はこのGL(4)では考えることができません。もう一つのやり方があって、局所本義ローレンツ変換SO^+(1,3)で考え、四脚場を考え、一般座標へ写像します。このやり方のほうが自然で正当のようですが僕の知識を考え、GL(4)の方にしました。

*2:ゲージ場の一般論では、ゲージ変換が座標変換を伴わないので、共変微分が不変性を持つように定義しました。つまり、共変微分重力場のときのみに限ってその名の通り共変性を持ちますが、重力場以外のときには不変性をもち、このときには「不変微分」と呼ぶべき ものだということだとわかります。しかし慣習ですべて共変微分と呼ぶようになっています。

*3:共変微分の非可換性で定義します。詳しくはこちらの記事fumofumobun.hatenablog.jpを参考にしてください。

*4:重力場以外のゲージ場の例に従った作用ではEinstein方程式はでてこないようです。{}^{[2]}