【一般相対性理論】時空の静的性とバーコフの定理
バーコフの定理という時空の時間に関する対称性について軽くまとめてみます.
シュワルツシュルト外部解
と書けますね().これは真空
における解なので,実際に物質が分布している部分は記述しておらず,外部解や真空解と言われます.
逆に,物質が分布している部分の時空を記述するものは,内部解と言われます.
バーコフの定理の主張は,球対称解は静的であり,かつそれはシュワルツシュルト解のみであるというものです.
シュワルツシュルト時空の静的性
座標に依存せずに対称性をはかるためにキリングベクトルを用いて静的とはどのように定義されるのかを確認しておきます.まず超曲面を用意して,これを複製したものを積み重ねていき,その超曲面に直交するように回転率のないコングルエンスを通すとします(超曲面直交⇔回転率なしです).そうすると,そのコングエンスに伴うベクトル場は超曲面の法ベクトル場であるわけですが,その積分曲線をたどっても超曲面は一定であるわけですからキリングベクトルになっています.そのようなキリングベクトルが時間的である部分があれば,あるいは漸近的にでも時間的であればその時間的である領域における観測者からするとこのように作られた時空は静的であると考えられます.時間的でない領域における観測者からすれば,静的ではないのでしょう(このあたりを議論している文献が見当たらないので自信がなく個人的な見解になりますが...).逆に静的な時空とは少なくとも漸近的にでも時間的であるような完備なキリングベクトルが存在して,それが超曲面直交であるような時空と定義します.ちなみに,そのようなキリングベクトルが存在はするが超曲面直交でないときには定常な時空といいます.
静的とは何かがはっきりとしたところで,準備としてシュワルツシュルト時空が静的であることを確かめましょう.これを確かめればあとは球対称解がシュワルツシュルト時空のみであることが示されればよいわけです.ベクトル場は完備なキリングベクトルになっていて
で時間的です.これは簡単な計算で確認ができて,
とリー微分が0,すなわちキリングベクトルです.なので
で時間的です.また都合よく
というのはまさに
一定面の法ベクトルであるので,その面に直交しています(このようにかける
はキリングパラメータといいます).よってシュワルツシュルト時空は静的な時空といえます.
球対称時空とシュワルツシュルト解の一意性
一意性自体は,標準的なテキストにあるような計算過程を追ってシュワルツシュルト解がただひとつでているということが証明になっているので割愛します.
ひとつコメントするとするなら,,
と置いて計算し,そのまま終了しているテキストが多いのが気にはなりました.
計算の簡略化とを期待してそのように置くこと自体は良いアイデアだとは思うのですが,
も考えたいのであれば,
,
と置きなおしてもう一度計算を追うか一言注意はしておいたほうがいいのかなと思っています(計算内容自体は符号が変わるだけなのですが).
この記事では,その計算は割愛するかわりにテキストではじめに仮定される,球対称性というものについて少しだけ掘り下げたいと思います.
おそらく量子力学でよく行う計算なので省きますが,角運動量演算子
がの生成子で,2次元球面
のキリングベクトル
が3つの任意パラメータを
(
)とし
になります(難しくはないので
に対するキリング方程式を立てて求めてみるといい計算練習になります).
4次元時空が球対称性をもつというのは4次元時空が上にあげたキリングベクトルをもつということです.,
以外の座標
,
を足して
で,成分が
であるということです.さてやりたいことはこれをキリングベクトルにもつような時空の計量がどのように制限されるかということです.単にキリング方程式に突っ込めばよいです.
の方程式より得られるのは
ということはすぐにわかります.代表してのみを考えればよいですね.任意パラメータ
にかかるのは
のみなので
がいえます.すなわち,が
に依らないことがわかりました.このことからキリング方程式はさらに,
となり,のときとほぼ同様にしてただちに
が
にも依らないということがわかります.キリング方程式の形は同じなので,
,
についても同様のことが言えます.
,
(代表して
)の方程式より得られるのは
同様の論法で,にかかるのは
だけであり,これが
なので
は
に依らず,
これに対すると
の係数からそれぞれ次の式
が得られます.これよりとなりますが,これが恒等的に成り立つためには
でなければなりません.これをキリング方程式に戻せば
が
にも依らないことがただちにわかります.これは
を
に置き換えても同様です.
,
(代表して
)の方程式より得られるのは
に注意して
で,の係数より
を得て,恒等的に0となるためにはとなります.
,
のキリング方程式についてはわざわざ調べる必要がありません.もともとこのキリングベクトルは2次元球面のキリングベクトルであり,高次元の座標と無関係な計量成分であるので
に共形であり,計量はもとの計量から
,
にだけ依った関数倍の自由度しかありません.
まとめると球対称時空の計量は
とかけます.これ以降は一般的なテキストに従えばよいはずです(以上は最初に仮定される球対称時空の一般形について丁寧に考察してみたということです).座標変換をしてより簡単な形にしてアインシュタイン方程式に代入していけばシュワルツシュルト解を得られます.
バーコフの定理とニュートン重力
バーコフの定理は,重力源が球対称であれば真空領域は静的であるという主張ですが,これはそこまで驚くべき定理ではなくてニュートン重力や電場等のガウスの法則でも成り立っていることです.球対称性があれば,例えば重力源を球で囲んでガウスの法則を考えれば,重力源や電荷が消失したり生成したりしない限り重力場や電場は静的ですよね.ニュートン重力の場合,球殻な重力源の球殻の内側についてはガウスの法則を考えればわかるように重力が働きません.ということは一般相対性理論でも球殻の内側では重力がない,すなわち平坦時空になっているという予想が立ちます.バーコフの定理より,球殻内部であっても真空であるので,シュワルツシュルト外部解となります.そして積分の定数であるは内側の質量なので(ガウスの法則のように),今の場合は
となります.よって,
とミンコフスキー時空になります.
【一般相対性理論】四脚場とローレンツ群の表現
スカラー場やスピノル場というのは局所ミンコフスキー空間のローレンツ群の表現を考えることで数学的にとらえることができます.
慣性系の変換
特殊相対性理論の要請としては,ミンコフスキー空間において本義ローレンツ変換*1で物理法則が共変であることです.ローレンツ計量を不変に保つ変換として要求すると,より広くポアンカレ変換
になりますが,特殊相対性理論の要請としては,ローレンツ変換
のうち,さらに時間反転をしない,空間反転をしない
ものだけでよいです.これを本義ローレンツ変換
といいます(
の単位元の連結成分が
).以後,断りのない限り本義ローレンツ変換のことをローレンツ変換といいます.
四脚場の回転
一般に重力があるような曲がった時空(4次元ローレンツ多様体)のある点
において,接空間として平坦な局所ミンコフスキー空間
を考えることができます.
において,特殊相対性理論を考えることができます.ここで,次のようなものを考えます.
ただし,とします.そして,
のフレームを
ととらえます.つまり,
は
の点
における座標基底
から
のフレームへの写像の役割をしています.このフレームが正規直交フレームであると仮定します,すなわち
の各点で
を仮定します((擬)リーマン多様体にはいつも正規直交フレームをとることができます).と書くことにして,上の式から逆に
と表すことができます.この正規直交フレームの双対1-形式の組を
で定められます.よって,上の計量
は点
で,
と書けます.
ところで,あるに対して(これを固定して),
と書けるような正規直交双対基底は一意ではなく,たくさんあります.
で正規直交双対基底を回転させる自由度を持っています.その回転行列を
とし,
という回転で,正規直交基底は
と逆回転され,四脚場は
と回転します.よって,
がわかります.(簡単にいえば,添字は局所回転においてスカラーです)
2種類のローレンツ変換
座標変換としてのローレンツ変換と四脚場の回転としてのローレンツ変換
は違うんですが,この2つを対応付けたいですよね.ちょっと僕にはわかりません.誰かご教示願います.
とはいえ,重力のある一般に曲がった時空を扱う限り,四脚場の回転としてのローレンツ変換を考えます.そしてこの群の表現を求めたいわけですが,どちらの意味にしても群としては同じなので数学的なところは変わりません.
交換関係と生成子
無限小ローレンツ変換の次表現行列を
とします(や2などの因子は後の便利のためです).簡単のために,
のときのことを考えてみると,
とかけるわけですから,
と書けます.これを用いて,以下のような交換関係を導くことができます.
交換関係は表現の仕方に依らないので,この関係が一般的に成り立ちます(一般の表現でも表現の性質を使えば示せますが結構計算が重たいです).このがローレンツ群の生成子になっています.これからしたいことは,まずこの既約表現を求めることです.
既約表現
このは座標変換としてのローレンツ変換の方での空間回転
(
)とローレンツブースト
(
)に分けることができます.これを次のように定義すると,うまいことそれぞれが表す生成子になります.
はレビ-チビタの完全反対称テンソルです. 具体的にこれを計算してみると回転やブーストの生成を表すエルミート演算子であることがわかります.またこれらは次の交換関係を満たします.
ここで,
とおくと,交換関係は
となります.これはと
がそれぞれが独立に角運動量代数,すなわち
(
)のリー代数
(
)と一致しています.
これから,角運動量のときと同様に,そこから言葉を借りて「方位量子数」として「磁気量子数」
はそれぞれ
個あります.
この独立な角運動量代数の生成子の直積表現が一般の表現を与えます.これを表現
といいます.具体的に表現を考えていけば,接ミンコフスキー空間上のスカラーやスピノル,ベクトルなどの場が考えられます.これはまたいつか記事にしたいと思います.座標変換としてのローレンツ変換を考えても同様です.また曲がった時空のゲージ理論にもつながります.
参考文献
中原幹夫 著『理論物理学のための幾何学とトポロジーⅠ[原著第2版]』2018 日本評論社
http://hep1.c.u-tokyo.ac.jp/~kazama/QFT/qft3slide.pdf
【電磁気学】相反定理・分極の例題
砂川理論電磁気学の問題を解いてみました.今回は参考文献の第4章の問題(12)と(14)です*1.
相反定理
相反定理というのは導体系の静電場で,方程式
が成り立つことです.詳細は参考文献p.100あたりを参照してください.
相反定理の例題
「半径の3個の導体球1,2,3を,中心距離が
,
(
)となるように一直線上にならべて,中央の球2にだけ電荷
をあたえる.次に,2を1に結び,その接続を断ったあとで,2を3にむすぶとき,3のえた電荷量を求めよ.」(参考文献p.125 第4章 問題(12))
相反定理をぜひ使いたいところですが,このままでは電位や電荷の情報不足すぎます.そこで,電位などを計算してみます.
厳密にやるには,鏡像法で電位などは求まるのですが,今回は簡単のため次の論法でいきます.
なので,お互いがお互いを点電荷とみなせてクーロンポテンシャルで電位を計算すればよい,という方法をとります.そうするとかなり簡単になります.
相反定理を使いやすくするために,電荷と電位の表を作ってみます.
| 導体球1 | 導体球2 | 導体球3 | |
|---|---|---|---|
| 状態1 | |||
| 状態2 | |||
| 状態3 |
となります.
状態2では導体球1,2のどちらにとっても導体球3は全電荷0の点電荷としてみなせるので,導体球1,2に対称性が生じて
の電荷を導体球1は得ます(当然導体球2もこの電荷になる).が最終的に求めたいものです.この表から相反定理を使ってみてください.
この表から立てられる1次方程式は状態1-2,2-3,3-1の3つです.一方,未知数はの4つです.これではどう頑張っても解けませんね.
ということで,自分で勝手に別の状態をつくってしまいます.値がわかるものであり,既知のパラメータを含むものがよいので,それぞれに電荷を与えた状態を考えてみましょう.これもクーロンの法則で簡単に電位は計算できます.
を利用するととってもきれいになって,
| 導体球1 | 導体球2 | 導体球3 | |
|---|---|---|---|
| 状態4 |
になります.
未知数は増えていません.しかし,方程式は3つ増えました.未知数に対して方程式が多いので解が存在しない可能性もあるので,すべての方程式をちゃんと満たしているかチェックする必要があります.さきほどの近似をちゃんと使えば満たしています.
結局答えはシンプルに
になります.ポイントは自分で勝手に考えやすい状態を設定しちゃうということですね.
分極の問題
「真空中になる電荷をもった導体があったとする.この導体による静電場の二つの等電位面
,
のあいだの空間を均質誘電体でみたすときのエネルギーの減少量を求めよ.」(参考文献p.125 第4章 問題(14))
差し込む均質誘電体の比誘電率をとします.遠隔作用的立場で,静電場によるエネルギー
は
になります.最初のエネルギーから誘電体をみたしたあとのエネルギーを素直に引きます.導体の電位をとして,分極電荷を
(
)とします.
結局,分極電荷を求めればいいんです.
普通のガウスの法則をと
の等電位面の間の空間を境界面に持つような閉領域
に対して積分して適用すると,
ここで,
なので
です.また,を用いることにより,
を得ます.よって,
ですので,答えは
になるかと思います.
*1:これら2問は最初かなり悩みましたがなんとか解くことができました...一度わかってしまうとなんだそんなことか...ってなりますね
【一般相対性理論】一般座標変換対称性に基づくゲージ論的重力場
この記事は参考文献[1]を大いに参考にしました。重力もゲージ論的に捉えることができて、ゲージ理論を拡張することで考えることができます。ゲージ変換として、一般座標変換で考えたものが重力のゲージ理論になります。(スピノル場はこの方法では扱えません。)
重力と
対称性
重力場を得るときに特に他と違って特別な点というのが、ゲージ変換が座標の変換によってもたらされることです。として、
という座標変換によって、諸量が変分を受けます。電磁場の場合は場の位相変換、つまりの不定性を利用したゲージ変換でしたが、重力場の場合は、どのような座標系をとっても、真な物理法則は変わらないという不定性を利用したゲージ変換ということになります。では、この一般座標変換でなにが変わるかというと、ゲージ場としてのベクトル場、ゲージ場の強さとしてのテンソル場、ヒッグス場としての複素スカラー場など、これらが各々の変換性に伴って変換するわけです。*1
電磁場との相互作用がある複素スカラー場を例に
具体例がよくわかってないのですが、電磁場との相互作用がある複素スカラー場とかを例にして良いのでしょうか()、複素スカラー場のラグランジアン密度は
としてKlein-Gordon方程式が得られます。作用は大域的な座標変換に対する対称性をもちます。
一般座標変換対称性
計算を簡単にするため、無限小変換で考えます。連続的な変換なのであとで積分すれば有限の場合を再現できるので、これでも本質が尽きます。
というように、16個の連続無限小パラメータをとります。すると、
です。
局所対称性の回復
ゲージ原理に従って、これを座標に依存した局所的なパラメータというものに置き換えます。
とします。ここで、ある関数が存在して、
とかけるとすると、
なので、
が成り立ちます。このような局所的なゲージ変換だと例えば、
となります。この第三項は大域的ゲージ変換の場合には出てきませんでした。この項を打ち消して対称性を回復させるように、ゲージ場を導入するのがゲージ理論の一般的な処方になります。共変微分とゲージ場の変換則は次の形を要請します。
となりますが(ここの計算は少し大変です)、このゲージ場を対称部分と反対称部分に分解、すなわち
としてみると、
となり、打ち消したい項のためには反対称部分は働かないことがわかります。この役に立たない反対称部分は0として落としてしまいます。つまり、ゲージ場に対称性を要請しても理論として問題がないことがわかります。
さて、大域的変換では、計量はで、
でした。局所的変換では、
を
におきかえ、
を
に置き換えることが自然であるので、次の計量の保存を要請します。
ところで、は未定義でしたが、これは
が共変性を持つように定義します。*2
の変換性
から、
とすればよいことがわかります。さきほどの要請より、
となることがわかります。これはまさに、(擬)Riemann幾何学のLevi-Civita接続です。ゲージ場の対称部分としてLevi-Civita接続係数が得られます。接続係数は一般座標変換に対して不定性があったので、ゲージ場としての性質が備わっているというのは確かにあっていますゲージ場の一般論から、ゲージ場の強さ*3は、
となります。これもまさに、(擬)Riemann幾何学のRiemann曲率テンソル成分になっています。このことから、ゲージ場の強さはしばしばゲージ場の曲率とも呼ばれます。重力場の方程式は、この微分幾何学的性質から、スカラー曲率を採用します。*4 これは不変なのでもっともらしく、まさにEinstein-Hillbert作用になります。
*1:物質場としてのスピノル場はこのでは考えることができません。もう一つのやり方があって、局所本義ローレンツ変換
で考え、四脚場を考え、一般座標へ写像します。このやり方のほうが自然で正当のようですが僕の知識を考え、
の方にしました。
*2:ゲージ場の一般論では、ゲージ変換が座標変換を伴わないので、共変微分が不変性を持つように定義しました。つまり、共変微分は重力場のときのみに限ってその名の通り共変性を持ちますが、重力場以外のときには不変性をもち、このときには「不変微分」と呼ぶべき ものだということだとわかります。しかし慣習ですべて共変微分と呼ぶようになっています。
*3:共変微分の非可換性で定義します。詳しくはこちらの記事fumofumobun.hatenablog.jpを参考にしてください。
【場の古典論】ざっくりと標準模型
この記事は参考文献を大いに参考にしました。自然界の力は強い力、電弱力、重力に大別されます。電弱力は対称性の自発的破れというものによって、弱い力と電磁力になります。
物質場とゲージ場とヒッグス場
まず、標準模型では物質を構成する物質場と、これと相互作用をすることによって力を伝えるゲージ場、質量を与えるヒッグス場があります。これらは素粒子を呼ばれますが、場を量子化しなければ粒子という描像は得られないのでいまの古典論の範囲で、場と呼び続けることにします。物質場はさらに陽子や中性子を構成するクォークと電子やニュートリノのレプトンに大別され、スピンとしての内部時自由度が2あるスピノル場(つまりスピン量子数が2)で、ゲージ場は強い力の場のグルーオンと弱い力のウィークボソン、電磁力の電磁場(光)に大別され、スピンの自由度が3あるスピン量子数1のベクトル場で、ヒッグス場は物質場やゲージ場に質量を与えるもので、スピンの自由度が0のスピン量子数0の複素スカラー場です。
物質場
まず、物質場には3世代あり、各世代では質量のみが異なります。つまりヒッグス場がなければ3世代の区別はつきません。各世代ごとに、「上」と「下」の場があり、クォークであれば第一世代はアップとダウン
、レプトンは電子ニュートリノ
と電子
の対になっています。また、スピノル場である物質場にはそれぞれにカイラルという自由度が2あり、左巻きLと右巻きRと呼ばれます。そして、クォークにはカラー(色)という自由度が3あり、レプトンにはカラーの自由度がありません。

、ダウン
、電子ニュートノ
、電子
について、
という形で区別して列挙すると、
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
,
ただし、右巻きニュートリノ,
はまだ観測されていないので含めてはいません。
強い力と
対称性
ゲージ変換として、カラーの変換を考えてみます。例えば、クォークはカラーが3自由度あるので、
の3次元表現すなわち基本表現
を次のように作用させる変換、例えば
レプトンにはカラーの自由度がないので、自明表現が作用する変換、例えば
をします。
強い力のゲージ場すなわちグルーオンは、クォークの場合には
とします。は
の生成子です。共変微分は
として、クォークに作用するを
に置き換えます。グルーオンの強さを
とし、これは
と変換されます。よって、
は相対論的にもゲージ論的にも不変です。レプトンの場合には、そのようなゲージ場がなくても対称性が保持されるので、このような置き換えは必要ありません。このことは、レプトンには強い力が働かないということを表しています。そして、カイラルはこのようなカラーの変換で独立に変換することがわかっています。強い相互作用がある第一世代に対するラグランジアン密度は次のように表されます。
電弱力と
対称性
ゲージ変換として、左巻きカイラルの上下の対となる物質場の変換を考えてみます。例えば、クォークは、
の2次元表現すなわち基本表現
を次のように、
2重項に作用させる変換、例えば
をします。右巻きカイラルはこの変換にともなって、1重項に自明表現
が作用します、例えば
となります。
のゲージ場すなわち
ゲージボソンは、クォークの場合には
とします。は
の生成子です。共変微分は
として、2重項に作用する
を
に置き換えます。
ゲージボソン強さを
とします。この左巻きカイラルは上下2種類の異なる場が交じり合って変換することがわかります、右巻きカイラルは不変であり、このことは右巻きカイラルには電弱力が働かないということを示しています。
電磁場の場合と同様に、すべての物質場は位相変換に対する対称性もあります、たとえば
のような変換です。
【電磁気学】多重極展開
四重極モーメントなどはイメージが難しいと思います.というか僕自身よくわかってなかったです.例題とともに明らかにしていきます.
「実際の」双極子
有限の電気双極子は2つの点電荷系とみてクーロンの法則と重ね合わせから静電ポテンシャルが求まります.そこで,この2点電荷が正負が逆で大きさが同じ電荷の対()であって,距離を無限小にして微小双極子にすると,静電ポテンシャルを簡単に書くことができます.(あくまで,微小な場合であり,有限な大きさの双極子の作るポテンシャルではないです.)(微小にしていくかわりに遠方のポテンシャルを考えるというのでもよいです.)
微小な極限をとるときには,双極子モーメントベクトルという次の量
を一定にします.は点電荷1の位置ベクトルです.(notationはある程度察してください.)
計算は省略して,このポテンシャルは次のように書かれます.
「実際の」四重極子
うえの有限の「実際の」双極子をもう一つ考えて.180度回転させて,正方形上に並べたものが有限の「実際の」四重極子になります.これも結構めんどくさいですが,クーロンの法則と重ね合わせによって静電ポテンシャルが厳密に求まります.が,同様に4つの距離を微小にしていくとポテンシャルが簡単な形になります.双極子モーメントベクトルに対応するものが四重極子モーメントテンソルです.それは,今の場合
です.定義からわかるようには対称トレースレステンソルです.(トレースレスとはトレースが
であるということです.)
は単位テンソルです.
ポテンシャルは
は
とも書かれますね.
四重極子だけでなく,八重極子・・・などと無限に続いて考えることができます.
多重極展開
多重極展開というのは,複雑な物体(電荷分布)のつくる遠方での静電ポテンシャルを近似する手法です.これらは点電荷,双極子,四重極子,・・・の重ね合わせで近似できます.具体的な細かい計算は教科書は参考書に譲るとして,問題となるのは「じゃあ実際に計算をするうえで,どのくらいの電荷の点電荷,どのくらいの双極子モーメントをもつ”微小な”双極子,どのくらいの四重極子モーメントテンソルをもつ”微小な”四重極子としてみなせるものの重ね合わせなのか」という定量性になってくると思います.点電荷としては,次の量
を電荷とするようなもので,双極子としては,次のような量
を双極子モーメントベクトルにもつような双極子で,四重極子としては,次のような量
を四重極モーメントテンソルにもつような四重極子とみなせます.これらを「重ね合わせ」ていくようなものが元の複雑な物体がつくる静電ポテンシャルの(遠方での)近似となります.
例題-四重極子の多重極展開-
こちらがゼミで混乱を招いたものなのですが,さきほどの「実際の四重極子」であって「微小でないもの」のつくる静電ポテンシャルを求めてみます.四重極子の4つの電荷のそれぞれの最も短い間の距離をとします.また求めたい位置ベクトルの方向と,原点から四重極子の1辺に向かって下した垂線のなす角を
とします.(察してください())
厳密な答えは,クーロンの法則を4回つかってそれを重ね合わせたものになります.しかし,それはおいておいて,今回は遠方での近似ポテンシャルを求めてみます.
「四重極子なので四重極モーメントテンソルを求めればそれが答えになる」という論理では一般には誤りなのです.確かにこれは四重極子(の一種)なのですが,「微小な」四重極子ではなく,有限な四重極子です.ですから次のような論法になります.
この系の4つの電荷を
とし,その位置ベクトルを
とします.これに対して多重極展開を実行します.
点電荷の項は
なのでです.
双極子の項は
なのでです.
四重極子の項は
となります.よって,なので(数学的に厳密には双対基底で書くべきです)
であり,この項のポテンシャルは
となります.
しつこいようですが,ではこの問題の四重極子はこのポテンシャルが厳密な答えとなるのでしょうか.なりません.有限な大きさを持っているので,この次に八重極子の項などが続いていきます.答えは,
【場の古典論】一般ゲージ理論
一般ゲージ場論とは、電磁場のゲージ理論などを具体性にとらわれず、より一般的に述べた理論です。
ゲージ原理の一般化
電子場と電磁場の相互作用でみたゲージ原理を、任意の物質場とゲージ場に関して一般化してこれを物理の原理とすることを考えてみます。これを原理として現象がうまく説明できればゲージ理論の成功ということになります。ゲージ原理は次のように一般化されます。「成分の場
(添字
は様々な種類の場の通し番号で、スピノルやテンソルの添字である)を、
個の連続パラメータ
で定まる線形Lie群
の元
による大域一般ゲージ変換
をするとき、の基礎方程式を定める作用が不変すなわち
であるという大域一般ゲージ対称性を備えているとする。は恒等変換である。連続パラメータ
を時空に依存する関数
に置き換えた次の局所一般ゲージ変換
をするとき、作用の対称性を回復させるようにを修正するべし。」というのがゲージ原理に基づく問題を一般化した、一般ゲージ原理となります。
一般ゲージ場の導入
まず、大域一般ゲージ変換1本目の式の無限小変換で考えます。無限小変換をあとで積分すれば有限変換となるので、1次の精度の無限小変換で本質は尽きます。つまり、
ただし、
であり、これはLie群のLie代数
の生成元です。すなわち、
には
と一意に表されるような係数
が存在します。そして、
を満たすが
の構造定数です。さて、大域一般ゲージ対称性の要請の仮定によって
は、
で、微小パラメータの任意性より、
が成り立っています。ここで、局所一般ゲージ変換におきかえると、今度は
のもとで、
であることに注意して、
とnon-zeroになります。これを打ち消すような新しい場を導入します。これを一般ゲージ場といいます。18本目の式の
個の
に比例する項を
の適当な線形結合によって打ち消すには、
でなければなりません。必要最小限の自由度を選ぶ、すなわち
とすると、
とかけます。無限小局所一般ゲージ変換、11本目の式に伴って、一般ゲージ場は
と変換されるものと仮定します。つまり、
です。このを決定することが本質的な問題のひとつになっていきます。物質場
と一般ゲージ場
が相互作用する系のラグランジアン密度を
とします。この関数形を決定することが問題です。まず、
は一般ゲージ原理から一般局所ゲージ変換によって不変であるので、
が要請され、,
に対して恒等的に成り立つために、
です。まず、26本目の式はの中には
の形で含まれていることと同値です。これを次のようにまとめて、共変微分ということにします。
微分幾何に慣れていれば27本目の式はゲージ場が接続に対応しているということがわかるかと思います。今回はこの数学的な話には深入りせず、計算を続けていきます(次回、微分幾何学とゲージ理論については勉強して別記事にあげていく予定です)。共変微分の形で含まれるということがわかったので、ラグランジアン密度を次のように書き直します
したがって、合成関数のチェインルールから
となります。これらを25本目の式式に代入します。
の関数形はこのままでは定められないのですが、
と同じ関数形だと仮定します。つまり、次を仮定します。
ここで、の変換性が
の変換性と同じであることを要請します。すなわち、
を要請します。このもとで、8本目の式について、の引数
が
になっていて、かつ42本目の式が成り立っているので、大域ゲージ対称性の恒等式10本目の式が成り立ちます。
これを41本目の式に代入して、
を得ます。これが恒等的に成り立つためには
です。これによって、ゲージ場の変換則が決定され、問題のひとつが解決されました。
一般ゲージ場の方程式
一般ゲージ場の方程式は、一般ゲージ場の方程式を定める作用の候補として、まず要請されるのが相対論的に不変であることと局所一般ゲージ変換に対して不変であることです。一般ゲージ場の作用を
とします。無限小ゲージ変換、46本目の式に対する不変性が要請されるので、
より、恒等式
を得ます。64本目の式より、26本目の式で考えたことと同様に、の形で作用に含まれるということになります。
の代わりに、その形を含む
で表すとします、すなわち
とします。すると、チェインルールより
となります。これらを63本目の式に代入すると、
ゆえ、が
のみに依るということになります。これで改めて、一般ゲージ場のラグランジアン密度を
とします。57本目の式の関数形とは異なることに注意してください。以上の要請からは、これ以上具体的にラグランジアン密度を定めることはできません。
参考文献
内山龍雄 (1987) 『一般ゲージ場論序説』 岩波書店.