ぶちゅり

日々学んだ物理学に関することをメモしていきます。コメントでのご指摘お願いします。

【一般相対性理論】時空の静的性とバーコフの定理

バーコフの定理という時空の時間に関する対称性について軽くまとめてみます. シュワルツシュルト外部解 シュワルツシュルト時空の静的性 球対称時空とシュワルツシュルト解の一意性 バーコフの定理とニュートン重力 シュワルツシュルト外部解 シュワルツシ…

【一般相対性理論】四脚場とローレンツ群の表現

スカラー場やスピノル場というのは局所ミンコフスキー空間のローレンツ群の表現を考えることで数学的にとらえることができます. 慣性系の変換 四脚場の回転 2種類のローレンツ変換 無限小ローレンツ変換 交換関係と生成子 既約表現 参考文献 慣性系の変換 …

【電磁気学】相反定理・分極の例題

砂川理論電磁気学の問題を解いてみました.今回は参考文献の第4章の問題(12)と(14)です*1. 相反定理 相反定理の例題 分極 分極の問題 参考文献 相反定理 相反定理というのは導体系の静電場で,方程式 が成り立つことです.詳細は参考文献p.100あたりを参照…

【一般相対性理論】一般座標変換対称性に基づくゲージ論的重力場

この記事は参考文献[1]を大いに参考にしました。重力もゲージ論的に捉えることができて、ゲージ理論を拡張することで考えることができます。ゲージ変換として、一般座標変換で考えたものが重力のゲージ理論になります。(スピノル場はこの方法では扱えません…

【場の古典論】ざっくりと標準模型

この記事は参考文献を大いに参考にしました。自然界の力は強い力、電弱力、重力に大別されます。電弱力は対称性の自発的破れというものによって、弱い力と電磁力になります。 物質場とゲージ場とヒッグス場 物質場 強い力と対称性 電弱力と対称性 対称性 参…

【電磁気学】多重極展開

四重極モーメントなどはイメージが難しいと思います.というか僕自身よくわかってなかったです.例題とともに明らかにしていきます. 「実際の」双極子 「実際の」四重極子 多重極展開 例題-四重極子の多重極展開- 「実際の」双極子 有限の電気双極子は2つ…

【場の古典論】一般ゲージ理論

一般ゲージ場論とは、電磁場のゲージ理論などを具体性にとらわれず、より一般的に述べた理論です。 ゲージ原理の一般化 一般ゲージ場の導入 一般ゲージ場の強さ 一般ゲージ場の方程式 参考文献 ゲージ原理の一般化 電子場と電磁場の相互作用でみたゲージ原理…

【微分幾何】主ファイバー束

ゲージ理論は数学的にはファイバー束の言葉で記述されます。今回は主ファイバー束の定義をしていきます。 主ファイバー束の定義 射影 構造群の作用 局所自明性 参考文献 主ファイバー束の定義 上の-主ファイバー束とは、まず、が級微分可能多様体であり、が…

【微分幾何】リー群とリー代数(編集中)

リー群は様々なところで耳にします。今回の記事では、ゲージ理論の数学的定式化に向けて、リー群周りのことについて簡単にまとめていきます。 リー群の定義 左移動と右移動 左不変ベクトル場 リー群の定義 群が級可微分多様体としての構造をもち、群演算 と …

【一般相対性理論】一般相対性理論を数学的に簡潔に述べると

一般相対性理論は微分幾何学の理論で、割と数学的に綺麗に述べることができます。以下では簡潔に基礎方程式を得るまでを数学的に述べたいと思います。 Einstein方程式を得るまで Einstein方程式を得るまで 次元時空(一般相対性理論では)は、向き付けられた級…

【一般相対性理論】ゲージ場としての重力場(概説)

電磁場などはゲージ場であることは有名であるかと思います。ゲージ理論とは、ある種の変換、ゲージ変換に対する作用の不変性を原理におく物理理論です。このゲージ理論を一般化した一般ゲージ理論では、重力場も(一般)ゲージ場として捉えることができます(内…

【力学】単振り子の厳密解の初等関数による高精度な近似

振り子の解は高校でのようにならったかと思います。これは1次の精度での近似解です。振り子は厳密に解くこともできます。しかし、その解はヤコビのsn関数という特殊関数や周期に第一種完全楕円積分などが用いられ、やや複雑です。この記事ではこれを精度をあ…

【一般相対性理論】線形化重力場の量子化

線形化した重力場は電磁場と同様に量子化することができます。電磁場の場合と比べながら量子化していきましょう。そして、古典的な波を量子化することによって、その波の粒子性というものを捉えることができます。この記事はレポートで出題された「重力波に…

【微分幾何】多様体の計量/接続/測地線/曲率

多様体ではスカラーだったりベクトルだったりテンソルを考えましたが、これらを利用することで多様体が多様体自体を自分自身で、内在的に計る(測る)ことができます。そのために計量テンソルというものがまず重要になってきます。 計量テンソル 正規直交化 逆…

【多様体論】多様体上のスカラー/反変/共変ベクトル/テンソル

地図を貼り付けられる多様体上にはスカラーやベクトル、テンソルの構造が表れてきます。 多様体上の関数(スカラー場) 多様体間の写像 多様体上の反変(接)ベクトル 多様体上の反変ベクトル場 多様体上の共変(余接)ベクトル(コベクトル) 多様体上の共変ベクト…

【多様体論】多様体の定義

一般相対論の舞台は時空、そして時空は多様体です。(正確に言えばローレンツ多様体です。) つまり、多様体論を学ぶことは一般相対論を学ぶ上で必須となってきます。この記事の読者の対象は一般相対論を学ぼうとしている人とします。多様体というのは簡単いえ…

【一般相対性理論】アインシュタイン方程式の線形化

アインシュタイン方程式は平坦なミンコフスキー時空からのずれとして1次の精度で書きあらわすことができます。こうすることで、そのままではかなり複雑なアインシュタインの重力理論を摂動的に捉え、定性的な議論をすることができます。 線形化 ゲージ固定 …

【波動】波動方程式の導出

1次元波動方程式の導出をニュートン力学から導きます。(大学のレポートの問題にあって、そのコピペになります。) 方針 質点を繋げたモデルの運動方程式 連続極限 方針 まず、下の図のような 個の質点を糸で繋ぐモデルを考えます。 (,)でラベリングされ、いず…

【微分幾何】形作用素の導入

2020年、あけましておめでとうございます。新年になったので、リーマン幾何であらわれる形作用素というものを解説したいと思います。 ガウスの公式 ワインガルテンの公式 ガウスの公式 の多様体とユークリッド空間へのはめこみがあるとします。リーマン計量…

【力学】幾何的なニュートン力学

ニュートン力学での運動方程式といえば を想起すると思います。ではこの運動方程式が使える条件は述べられるでしょうか。非相対論的、古典的はもちろんですが、デカルト座標の慣性系ですね。これを幾何的な視点からみると見通しがよくなります*1。もちろん、…

【特殊相対性理論】加速に対する勘違いから一般相対性理論へ

特殊相対性理論は歪みのないミンコフスキー時空間で物理を考えます。そしてこれを拡張した一般相対性理論では歪みのあり得る時空間で物理を考えます。やや混同されがちな特殊相対論と一般相対論の違いをここで明確にしていきたいと思います。 加速運動と加速…

【相対論的統計力学】相対論的理想気体

統計力学で理想気体を相対論的に扱うことができます。簡単に特殊相対論の範囲で考えて、非相対論的極限と超相対論的極限を取ると、それぞれ非相対論的理想気体と光子気体になることが期待されます。 方針 分配関数 内部エネルギー 非相対論的極限 超相対論的…

【高校数学】積分による π > 3.05 の証明

有名な東大入試の問題で、「円周率が3.05より大きいことを証明せよ。」というものがありますよね。これを積分による不等式評価で示してみます。 回答 回答 関数を とします。ここで、とおくと、で、二次方程式の判別式をとすると、なので実数全体でです。な…

【高校物理】任意の複数の状態を経る熱機関の最大熱効率

任意の2点間ではなく、任意の複数の状態を経由する熱機関の最大熱効率を求めてみます。 各過程の計算 熱効率の最大値 各過程の計算 閉鎖系の熱機関に理想気体を封入して、上の任意の点*1を通過する準静的な可逆過程のみでこれらの点を最小の回数の過程で結ぶ…

【高校数学】等差数列と等比数列の積で表される数列の和

等差数列と等比数列の積で表される数列の和をかなり素早く求められる公式を僕が当時センター試験対策をしているときに編み出したので、受験生の助けになればと思ったので、紹介します。 公式の導出 例題 例題1. 例題2. 例題3. 例題4. 一般化 公式の導出 とい…

【一般相対性理論】アインシュタイン-ヒルベルト作用のニュートン極限の誤りについて

この記事では、アインシュタイン-ヒルベルト作用のニュートン極限がニュートン重力の作用になっているということを作用レベルで(変分を取る前にという意味です。)確かめることをします。しかし、これによって得られた如何にも正しそうな結果は実は誤りなので…

【一般相対性理論】一般座標変換対称性と保存則

一般相対性理論でも対称性と保存則の関係性であるネーターの定理が有効です。その対応のゲージ理論*1的な部分をこの記事では見ていきます。 ビアンキ恒等式 エネルギー運動量保存則 電磁気学とのアナロジー ビアンキ恒等式 の変分として時空の真の歪みではな…

【一般相対性理論】一般相対性理論の変分原理

一般相対性理論とは、重力の仕組みは実は質量のある物質の存在が時空間を歪めることにより物体に力が働いているようにみえる、という革新的で美しい微分幾何学的なアインシュタインが作った理論です。今回はその基礎方程式であるアインシュタイン方程式を変…

【一般相対性理論】時空のADM分解

相対論においては時空は時間も空間も平等にして扱っています。しかし、時間一定面で時空を分割していき、時間発展を追うこともできます。これは相対論を正準形式で記述しようと思うと必要となることです。このように、次元時空を次元時間一定面で分解するこ…

【量子力学】水素原子軌道について

今回は、量子力学や量子化学でまず扱われる水素原子について少し考察をします。水素原子は様々な数学的な構造を持っていたり*1、量子化学計算の元となるものであったりするのでかなり重要なモデルです。この記事では、軌道や軌道というのは実際にどういった…