ぶちゅり

日々学んだ物理学に関することをメモしていきます。コメントでのご指摘お願いします。

2019-01-01から1年間の記事一覧

【力学】幾何的なニュートン力学

ニュートン力学での運動方程式といえば を想起すると思います。ではこの運動方程式が使える条件は述べられるでしょうか。非相対論的、古典的はもちろんですが、デカルト座標の慣性系ですね。これを幾何的な視点からみると見通しがよくなります*1。もちろん、…

【特殊相対性理論】加速に対する勘違いから一般相対性理論へ

特殊相対性理論は歪みのないミンコフスキー時空間で物理を考えます。そしてこれを拡張した一般相対性理論では歪みのあり得る時空間で物理を考えます。やや混同されがちな特殊相対論と一般相対論の違いをここで明確にしていきたいと思います。 加速運動と加速…

【相対論的統計力学】相対論的理想気体

統計力学で理想気体を相対論的に扱うことができます。簡単に特殊相対論の範囲で考えて、非相対論的極限と超相対論的極限を取ると、それぞれ非相対論的理想気体と光子気体になることが期待されます。 方針 分配関数 内部エネルギー 非相対論的極限 超相対論的…

【高校数学】積分による π > 3.05 の証明

有名な東大入試の問題で、「円周率が3.05より大きいことを証明せよ。」というものがありますよね。これを積分による不等式評価で示してみます。 回答 回答 関数を とします。ここで、とおくと、で、二次方程式の判別式をとすると、なので実数全体でです。な…

【高校物理】任意の複数の状態を経る熱機関の最大熱効率

任意の2点間ではなく、任意の複数の状態を経由する熱機関の最大熱効率を求めてみます。 各過程の計算 熱効率の最大値 各過程の計算 閉鎖系の熱機関に理想気体を封入して、上の任意の点*1を通過する準静的な可逆過程のみでこれらの点を最小の回数の過程で結ぶ…

【高校数学】等差数列と等比数列の積で表される数列の和

等差数列と等比数列の積で表される数列の和をかなり素早く求められる公式を僕が当時センター試験対策をしているときに編み出したので、受験生の助けになればと思ったので、紹介します。 公式の導出 例題 例題1. 例題2. 例題3. 例題4. 一般化 公式の導出 とい…

【一般相対性理論】アインシュタイン-ヒルベルト作用のニュートン極限の誤りについて

この記事では、アインシュタイン-ヒルベルト作用のニュートン極限がニュートン重力の作用になっているということを作用レベルで(変分を取る前にという意味です。)確かめることをします。しかし、これによって得られた如何にも正しそうな結果は実は誤りなので…

【一般相対性理論】一般座標変換対称性と保存則

一般相対性理論でも対称性と保存則の関係性であるネーターの定理が有効です。その対応のゲージ理論*1的な部分をこの記事では見ていきます。 ビアンキ恒等式 エネルギー運動量保存則 電磁気学とのアナロジー ビアンキ恒等式 の変分として時空の真の歪みではな…

【一般相対性理論】一般相対性理論の変分原理

一般相対性理論とは、重力の仕組みは実は質量のある物質の存在が時空間を歪めることにより物体に力が働いているようにみえる、という革新的で美しい微分幾何学的なアインシュタインが作った理論です。今回はその基礎方程式であるアインシュタイン方程式を変…

【一般相対性理論】時空のADM分解

相対論においては時空は時間も空間も平等にして扱っています。しかし、時間一定面で時空を分割していき、時間発展を追うこともできます。これは相対論を正準形式で記述しようと思うと必要となることです。このように、次元時空を次元時間一定面で分解するこ…

【量子力学】水素原子軌道について

今回は、量子力学や量子化学でまず扱われる水素原子について少し考察をします。水素原子は様々な数学的な構造を持っていたり*1、量子化学計算の元となるものであったりするのでかなり重要なモデルです。この記事では、軌道や軌道というのは実際にどういった…

【一般相対性理論】高次元時空の面積分について

高次元の超曲面での面積分というのを考えます。この記事の前にギボンズ-ホーキング項の記事を上げてしまって、完全に記事としての順番が前後してしまっているのですが、改めて高次元(4次元)での面積分についておさらいしようと思います。一般相対論への利用…

【一般相対性理論】計量テンソルの行列式

一般相対論では計量テンソル場について行列式を利用しますね。この行列式が時空の歪みとして変分をとるときに変化するのはいいと思いますが、単に座標変換でも変化します。というものがよく定義できないということの理由をすぐに述べられるでしょうか。 結局…

【熱力学】熱と温度とエントロピーの定義

熱力学でよくわからないと言われることが多いものが「熱」と「温度」と「エントロピー」だと思います。色んな説明や導入方法があり、逆に混乱してしまいますよね。これら3つは密接な関係にあります。この記事ではまず熱を定義して、その次に温度とエントロピ…

【電磁気学】静電場に関するガウスの法則について

高校物理や初年度の大学物理の電磁気学で、よく電場に関するガウスの法則を用いて対称性のある系の電場を一瞬で求めるとことがあるかと思います。対称性がわかるとかなり強力ですね。例えば点電荷を球面で包んで考えると、「ガウスの法則と球対称性からなの…

【一般相対性理論】ギボンズ-ホーキング項とは

一般相対論で、アインシュタイン-ヒルベルト作用をで物質場とともに変分をとる*1とより、積分範囲が全時空あるいは積分領域の境界で十分に時空の歪みが減衰して平坦なときはアインシュタイン方程式が得られます。しかし、有限の時空の領域で変分をとると条件…

【量子力学】スピノル表示とは

量子力学をやっていてスピンの話が出た後に2成分波動関数というものが突然現れてきたりすることがあるかと思います。これはいったいどういうことなのでしょう。波動関数を並べただけ? スピノル表示 テンソル空間の基底と内積をとっていただけ 電子の場合 ス…