【相対論的統計力学】相対論的理想気体
統計力学で理想気体を相対論的に扱うことができます。簡単に特殊相対論の範囲で考えて、非相対論的極限と超相対論的極限を取ると、それぞれ非相対論的理想気体と光子気体になることが期待されます。
方針
どのアンサンブルを考えるかですが、非相対論的に考えていたのと同じように、どれでも考えてもいいです。特殊相対論で、粒子のエネルギーは
で与えられることから、カノニカルアンサンブルを考えるのが楽になります。
分配関数
では、カノニカルアンサンブルを考えるので、分配関数から計算します。非相対論的にい考えていたところのエネルギーにを代入するだけです。古典的に、
変数変換,
をすると、
さらに変数変換をすると、
となって、ここにあらわれている積分は第二種変形ベッセル関数という特殊関数として定義されていて、
として知られています。なので
となります。
内部エネルギー
エントロピーは、に注意して、
ここで、という漸化式を用います。
圧力は、、化学ポテンシャルは、
などを計算すれば求められますね。内部エネルギーを求めてみます。内部エネルギーは
なので、さきほどの計算結果から。
となります。
非相対論的極限
が実は相対論的な極限のパラメータの役割をしていて、非相対論的極限は
すなわち
です。
は
で次のように漸近展開されます。
これによって、非相対論的極限によって内部エネルギーは、
となります。これでは発散してしまいます。この無限大のエネルギーを「くりこむ」ためには、最初の分配関数を作る際のエネルギーにおいて静止エネルギーを引いておく
ことにより、
となって回避することができます。このようにエネルギーの基準点を修正しておけば、
という、よく知っている非相対論的理想気体の内部エネルギーに一致します。
超相対論的極限
超相対論的極限とは、要するには光子を考えろということです。 この極限はになります。このときには、
を用いて、
であることを用いて、
と、光子気体の内部エネルギーに一致します。
参考文献
太田浩一 著, (2018), 「熱の理論 -お熱いのはお好き」, 共立出版株式会社, ISBN 978-4-320-03606-2